(書評)馳星周 著作
おそらく馳星周の作品群は書評するのが難しい部類だと思う。面白いが、作品ごとの個体差がない。
名前とキャラが強烈に残るのは「不夜城」「鎮魂歌」「長恨歌」シリーズの劉健一くらいで、残りの作品は劉を越えられないキャラが大して代わり映えのしないストーリーのもとでダラダラと社会の底辺でうごめくだけの作品群が最近まで続いている。
「蛇頭」「黒社会」「マフィア」「密入国」「薬(ヘロイン・シャブ)」「銃」「SM」「同性愛」「同郷」「フェチ」「在日二世」「ヒモ」「ヒモにたかられる女」「ドロップアウト」「悪徳警官」といったキーワードで構成される登場人物数名を「歌舞伎町」「錦糸町」「台湾」「香港」「バンクーバー」を舞台にヤったり、ヤラレたり、殴ったり、殴られたり、殺したり、殺されたりしているのが馳星周ワールドである。
馳はこのロンドを立て続けにやると飽きられるので適度な感覚で再生産して発表している。もともと稀代の「読み手」「書評家」として売り出してきた彼のことである。おそらく自分がそういうシステムでやっていることをとっくの昔に意識していることであろう。
私は彼に期待しているから作品を買い続けている。わかった上で。でも付き合えない人は不夜城三部作だけ
でいい印象だけ持っておきましょうね。
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