2007年3月18日日曜日

楽天 敗北へのカウントダウンか?(その1)

(2005年10月26日 Livedoor Blog掲載分の再掲)

今朝の報道で楽天がTBS株を20%近くまで買い増ししたとあった。

これで楽天は「敵対的」との批判を逃れられない。そしてそれはほぼこの買収劇が楽天の敗北に終わることを意味している。以前のエントリーで「楽天株はいい押し目」と書いた時期もあったが、もうそれはないだろう。

一方、TBSは想像以上に有利なポジションである。TBSがやるべきことは二つだけ。

1)諮問委員会で今回のことを「敵対的」と認識・認定しておく。
2)これ以上、楽天が買い増した場合は日興への新株予約権による対抗措置をとる「用意がある」とアナウンスする。

以上である。これに対して楽天は何ができるだろうか?

1)ここで買い増しを止めて時間がかかっても対話路線を続ける。
2)対話路線をあきらめて敵対的TOB(パワープレイ)に移行する。

1)をとった場合、TBSは急ぐ理由はないので、引き伸ばしにかかるであろう。株主安定化措置を講じつつ、一方で今回のAmazonとのような別の協業スキーむを発表し、「別に楽天である必要はない」という周辺
世論を醸成すればよい。楽天がそのうちに財務的に塩漬けを許容できなくなり、交渉のイニシアティブをTBSが握ることができる。

2)をとった場合はどうか?

楽天の三木谷社長は「TBSが対抗措置を発動すれば資本市場における汚点であり、株主から訴訟を起こされるだろう」と牽制しているが、実際に株主から訴えられるのは三木谷氏のほうが先になる可能性がある。
「敵対的と認定された場合、対抗策を発動するぞ」と言っている相手に対して中途半端なシェアを獲得し、五月雨でTOBに移行し、かつその資金調達をエクイティファイナンスでやって株式価値を希釈化させれば、TBSが対抗策をうつ前に三木谷氏自身が楽天株主から訴えられる。更にTBSが本当に対抗策を発動し、楽天株式の価値が二重に毀損された場合、株主の怒りはTBSではなく三木谷氏に向くであろう。

こうした状況を考えると、私は楽天がゴールドマンサックスと考えている資金調達はエクイティファイナンスではなく、TBSの遊休資産を先付けで担保にするLBO(レバレッジドバイアウト)であろうと思う。
三木谷氏自身が株主代表訴訟を免れ、かつTOBで既存株主がアカウンタビリティを保てないくらいにプレミアムをつけた価格を提示するだけの資金調達を行うにはそれしかない。ただ、その場合TBSも同様の
資産を担保に資金調達をして対抗してくるであろうから、その場合は財務的に余裕のあるTBSが有利である。楽天は時価総額こそTBSより高いが、所詮は期待値によってRevenue MultipleがTBSよりも高
いからそうなっているのであって財務を含めた基礎体力が勝っているわけではないのだ。

しかし、ここで楽天が気をつけなくてはいけないのは実は電通の動きではないかと思う。(思わせぶりになってしまったが、続きを書く時間がないので、また改めて・・)

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