2007年3月25日日曜日

東証誤発注問題の背景

(2005年12月14日 Livedoor Blogより再掲)

一部外資系証券会社が混乱に乗じて莫大な利益を得て、その正当性や企業倫理にも話題が飛び火している本件だが、外資系証券トレーダーの知り合いの弁では

「前々から指摘されていたシステムの脆弱性に対して必要な措置をとらなかった東証の責任は大きく、今回の件で外資系証券会社は東証に対してある種『懲罰的な』行動をとったと言える」

ということだった。この意見が証券トレーダーの総意とは思えないが前々から東証のシステムに対するトレーダーのフラストレーションは非常に大きかったとのことである。私から見ると東証はまだましでヘラクレスなどは取引する場に値しないと思っているほどだが、彼らからするとNYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQの発注から確認までのラウンドトリップレスポンスタイムを1とすると東証のそれは数十倍から100倍の時間がかかるのだと言う。

それにしても「懲罰的」とは、やはり後付であぶく銭を正当化しているような言い草にしか見えない。発行済み株式数をはるかに超える買発注をイレギュラーと知りつつ意図的に行ったことについては倫理違反であるとの謗りを免れないであろう。

実は、私が本件で注目しているのは別のところにある。なぜみずほ証券が発行済株式数を超える売り注文を場に出すことができたのか?という点だ。個人が行う場合、強制的にそんな注文を出すことはできな
い。なのに、なぜみずほ証券はそんなことができたのか?証券会社はやろうと思えば発行済株式数をはるかに超える莫大な空売りをしかけることができるということなのだろうか?

証券会社の自己勘定売買用のシステムでだけできる取引がある、しかも時間内にそれができるというのは取引に関するイコールフッティングの観点からはとても大きな問題なのではないだろうか?証券取引法で「見せ板」と呼ばれる意図的な架空注文への処罰規定が強化されるとのことだが、今回のことで証券会社は発行済株式数を超える数の架空注文をやろうと思えばできるということが判明した。今回はそれを東証のシステムの不具合で引っ込めようと思ったのにできなかったらカモになったわけで、そうでなければきちんとした
価格と数量で儲ける目的で大量の売買注文ができたということだ。

株式市場は個人投資家の大量流入で空前の投資ブームだ。ボーナスシーズンを当て込んで投資特集も大々的に組まれている。しかし、このあたりのカラクリが解明されていないと個人投資家はいつかの時のようにカモられて終わるだけなのではないか?

今回、みずほ証券と東証から金を巻き上げた外資系証券会社にも同じことができるシステムがあるのであれば、自己責任による安全な取引など、少なくとも個人投資家には望むべくもない。

と書いた後に「UBSなど6社全額返還へ 株誤発注の計168億円」というニュースがはいってきた。ますます怪しい。悪者になって余計なシステムの裏を嗅ぎまわられる前に恭順の意を示してあとはお咎めなしを狙っているのでなければいいが。

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