楽天 敗北へのカウントダウンか?(その2)
(2005年10月28日のLivedoor Blogより再掲)
昨日、またSBIの北尾氏が楽天問題でコメントをした。
(ZAKZAKより引用:元URL http://www.zakzak.co.jp/top/2005_10/t2005102702.html )
楽天問題について、記者団が「何かお考えがあるのでは」と問いかけると、「そんなことをやっている暇はないくらい忙しい」。無関心を装いつつも、「一般論」として「敵対的買収は、企業風土、文化が違う中では難しい。失敗する可能性が高い」と指摘した。
ニッポン放送の経営権をめぐる攻防では、北尾氏は「騎士」としてフジテレビを助け、ライブドアによる買収を阻止した。今回も“姫”救出に向かうのかとの見方には「ノーコメント」。
だが一方で、「私にはいいアイデアがある」として、「あるところが協力し、あるところが乗り気にさえなれば、完全に楽天の意図をくじくことができる」などと意味深発言も。
(以上、引用終わり)
そんなことやっている暇はないと言いつつも一家言あるところが北尾氏らしいところ。このお方が関心がないわけがない。
で、前回の続きだが、この北尾氏の最後のコメントの「あるところ」をあえて埋めると「電通が協力し、ソフトバンクが乗り気になれば完全に楽天の意図をくじくことができる」が正しいだろう。
電通は9月の第三者割り当てを引き受けて以降、言うまでもなくTBSの大株主である。ここの意向を無視して通信と放送の融合ビジネスなんて悔しいが成立しない。それは以前のエントリーである「通信と放送の融合の本質」でも触れたように、今後のビジネスの本丸が現在地上波TVが圧倒的に独占している広告宣伝費、販売促進費の奪い合いだからで、電通はいまのところその流通のクリティカルポイントを握っているからだ。
今のところ、電通はTBSのパートナーとして楽天がいいとは思っていないようである。それは先日アマゾンとの協業スキームを演出してみせたところにもある。また、今週発売の雑誌には「楽天が来たらTBSは面白くなくなる」とか「社員が一斉拒否」等の見出しが目につくが、このあたりオピニオンコントロールを仕掛けていてもおかしくない動きが垣間見える。(彼らにそんな世論操作ができるのか?と思っている人もいるかと思うが、十二分にできる。最近も彼らの仕掛ける韓流ブームで沢山の人々が踊らされたのがいい例だ。総選挙の際のメディアの報道トーンが偏っていたことも疑ってみたほうが良い。)
電通は勝手に広告宣伝費や販売促進費を自分でコントロールしようとする事業体がいては困るのだ。だから通信と放送の融合は電通の利権を阻害しないように、かつ自分達がコントロール可能な形態で行い
たいと考えている。楽天のTBS買収なんて許すわけがない。
ただし、電通はコントローラーあるいはフィクサーであって表舞台に出ていくことはしない。だから全面に出る事業者を必要とする。電通は今、この期に乗じて楽天を逆に攻める事業者に手を回しているはずだ。それが今回はソフトバンク(正確にはヤフー)だと見ている。ネットビジネスにおいて電通とヤフー・ソフトバンクは密接な関係を持っている。そして今回、楽天のビジネスドメインを狙いにいく(楽天という事業体を狙いにいくのではない。有利子負債が5000億もある会社を会社ごと背負おうと思う会社はいない。あくまでも楽天の持つビジネスモデルと顧客を取りにいくという意味である)動機がヤフージャパンには十分にある。電通は追手でTBSの安定株主工作に協力し、楽天との統合は意味がないというプロパガンダを打ちつつ、搦め手からは楽天本体をネット業界再編の波にさらそうとしていると思う。両方が互いに相乗効果を出すシナリオだ。
色々とやり方について書くと差し障りがあると思う(まあ、こんな弱小ブログ見ている人はほとんどいないが)ので書かないが、遠くない将来、楽天に対する第二幕があく可能性があると思う。北尾氏があの
ようなことを言うのは楽天に対する予告であり、水面下ではもう準備は進んでいるのだと思う。
楽天はうまく取得株式を引き取らせる方向で動いたほうがいい。TOBなんて仕掛けたら楽天への仕掛けが本当に始まるだろう。三木谷氏がどんなに優秀で調整能力が高くても、今の楽天に二正面作戦を取るだけの余裕はない。
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