「マイクロソフトの最期」はYahoo買収でファイナルステージへ~AOL&TimeWarnerの再来
いささかガンダム風の例えで恐縮だが、マイクロソフトという会社はいわば「地上
の重力に縛られた」会社である。あらゆる情報と機能が宇宙(そら)を舞い、そこ
から降って来るこの時代に、機能と価値がOSを始めとしたデスクトップ上に存在
していた時のビジネスモデルから離れきっていない。
もちろん、宇宙(そら、もういいか・・・)の価値も理解しているWindows Live
Platformはそういう思想だ。でも徹底できていない。なぜなら自らの元々のレゾン
デートルに配慮しながらやっているからで、これこそがクリステンセンの言う
「イノベーションのジレンマ」である。
今回、Yahooを62%プレミアムを払って買収するそうだが、これも株主を満足
させる選択肢としてはもはやそれくらいしかなく、かつ満足度は低いという最悪の
シナリオだ。
Yahooという会社はネット・ウェブ世代でもフロントランナーであったが、これまた
宇宙を自由に飛びまわれる時代にポータルという宇宙ステーション型集客ビジ
ネスをやっている残念な会社である。そう、まだ宇宙旅行黎明期で個人乗り宇宙
船のナビゲーションシステムのいいのがなかった時代には存在意義があった。
みんなここに寄っては知識を得て次のクルージングに出発したのだ。でも、もは
やナビゲーションシステムのいいのが出てくると皆立ち寄ることなく自由に動いて
いる。
(日本ではナビが使えない人も少なくないので、まだ重宝されているようだが・・)
さて、宇宙に足場を作りたい地上の重力に縛られた会社が、ようやく宇宙遊泳の
本格的な第一歩を踏み出すために宇宙ステーションを大枚はたいて手に入れよ
うとしている。これは先進的な結果が出るであろうか?
アメリカの買収は他国に比べてM&Aの成否が占いやすい国である。なぜなら
独占禁止法にうるさく合併が市場競争に与える影響について承認審査されるか
らだ。幸か不幸かこの合併は承認されるだろう。そしてそれは逆にこの合併がさ
して競争環境を独占に向かわせる危険性はないと判断されたに等しい。
悲しい話だ。
以前のエントリー(「通信と放送の融合の本質」)にも書いたことであるが、もう時代
は「契約者課金から第三者課金へ」「ポータルからパーソナライズドポータルへ」
とステージが移行してしまっている。
そういう意味ではYahooもまた、地上の重力(過去の競争・支配ルール)に支配
された会社である。地球が月を「自分たちの衛星だ!」と宣言することは広大な
宇宙にとっていかほどの意味を持つのであろうか?
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