2007年4月10日火曜日

(書評) オプティミストはなぜ成功するか



コミュニケーション能力と呼ばれるものには二つある。
ひとつは他人とのコミュニケーション。話し方、プレゼンテーション、説得、
コーチングなどなど。もうひとつは自分とのコミュニケーション。イントラ
パーソナルコミュニケーションと呼ぶべきものである。

イントラパーソナルコミュニケーションは「自分への問いかけ」「自分への
説明」であり、このスタイルが性格や人生、健康状態などその人の生き方を
大きく左右するというのがこの本の主旨だ。

タイトルにあるようにオプティミスト(楽観主義者)傾向がペシミスト(悲
観主義者)よりもよいという大筋だが、ただ一方を勧めるのではなく、オプ
ティミストであったほうがいい場合とペシミストであるほうがいい場合が
ちゃんと書かれている。要はバランスだ。

「思考がネガティブなスパイラルに入りやすい人の傾向は?」

「人はなぜうつ病になるのか?」

「幼少時は男性がよりうつになりやすく、大人になってから女性が男性の二倍うつになりやすいのはなぜか?」

「一時的、特定的、外的に起こっていることを永続的、普遍的、個人的に捉えて自分に説明することの危険性とそうした説明スタイルの転換法」

が知りたい人は読むとよい。

キーワードである「一時的、特定的、外的」と「永続的、普遍的、個人的」という概念はわかりにくいかもしれないが、例をあげると

メールを送ったのに恋人からすぐに返事のメールが来ない時に
「私がいつも自分勝手にしているからメールがこなくても仕方がない」
(永続的、普遍的、個人的)と考えるか、
「あの人、今週残業だと言っていたからきっとバタバタしてるんだろう」
(一時的、特定的、外的)に考えるかの違いと言えばわかりやすいか。

逆転ホームランを打たれた野球のピッチャーが
「オレはいつも肝心な場面で球が甘いコースにいってしまうんだ」
と自分自身に説明して納得するのか
「今日は、あいつがオレよりもうまくやったということだな」
と総括するか?と言い換えてもよい。

やや冗長なところもあるが、丁寧に事例を紹介し、時にテストをしながら
読者に持論を展開していく良著。子供が楽観傾向が強いか悲観傾向が強いかをインタビューするテストも載っている。

今度、娘にやってみよう。

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